「寝かせグループ」「積み立てグループ」につづき3つ目のグループ「取り崩しグループ」を見ていきましょう。
取り崩しグループ
「寝かせグループ」「積み立てグループ」につづきここからは「取り崩しグループ」に入っていきます。「取り崩しグループ」には「資本回収係数」と「年金現価係数」があり、この2つも裏表の関係にあります。
資本回収係数
今回は「資本回収係数」という言葉の意味から見ていきましょう。ここまでの流れを思い出しながらお話をすすめていきます。6つの係数の内、この「資本回収係数」とひとつ前の「減債基金係数」の2つだけが、「現価」もしくは「終価」が付かない、異端な雰囲気の係数です。
前述の減債基金係数は積み立てなのでスタートが「0」でしたが、この資本回収係数は反対にゴールが「0」です。まとまったお金を取り崩していくと最後は手持ちがなくなります。下図のイメージです。
そうすると、この係数で求める値は「毎年の取り崩し金額」となります。
ここでもまた、認知的不協和がおこりませんか?「取り崩し」と「資本回収」という言葉が嚙み合いません。
先ほどの減債基金係数が借りた側と貸した側の立場を逆に考えれば意味が分かったのと同じことがここでも言えます。「回収」というからにはお金を貸した側の立場です。まとまったお金を貸して、少しずつ利息を付けて返してもらうという場合の毎年の回収額の計算は、まとまったお金を運用しながら取り崩していくときの取り崩し額の計算と同じなのでこの名称がつけられています。
1,000万円の手元資金を年率3%複利で運用しながら20年間で取り崩した場合いくらずつ取り崩していけばいいのか、という計算は資本回収係数を使い以下のように出します。
上記資本回収係数表の3%・20年の数値0.0672を1,000万円にかけ合わせます。
1,000万円×0.0672=67万2,000円
となります。
さて、先にご紹介した例題はこの資本回収係数を使うケースのように思われますが、20年で「0」にならない設定です。この辺りの一ひねりが1級のゆえんです。詳しくは次の「年金現価係数」の後でお話しいたします。
年金現価係数
いよいよ6つ目です。先ほどの資本回収係数と同じ「取り崩しグループ」で資本回収係数の裏返しです。毎年の取り崩し額を賄うためにまとまったお金がいくら必要かを計算すらためのものです。例えば、「定年後の生活費として年間100万円のお金を20年間受け取りたいが、そのための原資が定年退職時点でいくらあればいいか」、といった計算ができます。表をみて計算してみましょう。
運用する金利は年率3%とすると、3%・20年の数値は「14.8775」
100万円×14.8775=約1,487万円
が必要となります。
以上で6つの係数の説明は終わりです。全体像が把握できましたでしょうか。