労災保険の位置付け

労働者災害補償保険、いわゆる「労災保険」のポジションについてまず見ていきましょう。

労災保険と雇用保険は「労働保険」と言われる広義の社会保険の一種です。業務が原因で怪我や病気をしたときのセイフティネットが労働保険で、倒産や解雇により職を失ったときのセイフティネットが雇用保険です。

厚生年金や健康保険は働き方によって「入る人」、「入らない人」がありましたが(参考記事「パート労働者の社会保険」)、労働保険(労災保険と雇用保険)は法人個人を問わず、労働者を1人でも雇っていいる事業主は必ず加入しなければなりません。

給料天引きされない

さて、サラリーマンの皆さま、また給与明細の話になりますが、この労災保険の保険料、どこにも書かれていませんよね。雇用保険は引かれてますが。加入しているのに給料から引かれないということは「タダ?!」ということでしょうか。

世の中タダのものは在りません。会社(事業主)が全額払うという制度になっているのです。

これには理由があります。

労災の法的根拠

この制度のよろどころとなる法律は「労働者災害補償保険法」(労災保険法)です。この法律は同じ年(昭和22年)に制定された有名な「労働基準法」の考え方を具体的に実現するための法律です。

「労働基準法」は

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。(第一章 総則(労働条件の原則)第一条)

という一文から始まっています。

そして第八章災害補償(第75~84条)で、「使用者の労働者に対する補償義務」が規定されています。それによると、労働災害が起こった場合、使用者は療養補償・休業補償・障害補償・遺族補償・葬祭料の義務を追うことになっています。

しかし、労働災害は突然起こります。事業主が負担できないような莫大な補償金が必要な場合もあるでしょう。このような場合に備え労災保険があるのです。

このように、本来、労災の補償義務は使用者にあるという観点から、労災保険の保険料は全額使用者の負担と決められているのです。

このように労災保険は「労働者1人でも加入」「保険料全額が使用者負担」というシンプルな制度です。そのためFP試験を難しくするためには「給付」についての問題が出題されるという結果になります。

過去問で具体的な事例を見ながら勉強しましょう。

 

・・・労災保険の給付(2)につづく・・・

出題事項の詳細解説