国民年金基金とは、「国民年金」に上乗せして掛ける年金です。サラリーマンや公務員の加入する厚生年金には「厚生年金基金」という上乗せがあるのと同じように、年金の世界で「基金」というと上乗せと考えて良さそうです。ただし、どちらも全ての人が加入してるわけではありません。

こちらは国民年金基金連合会のホームページからの引用です。ご覧いただければ分かるように、

 

 

公的年金制度はよく3階建の建物に例えられます。「国民年金」が1階部分だとすると「国民年金基金」は2階部分、もしくは2階部分と3階部分がいっしょになった吹き抜けの2階部分に相当します。

第1号被保険者(自営業者など)は厚生年金に加入できませんので、国民年金だけだと65歳からもらえる年金は年額800,000円程度の老齢基礎年金しかありません。老齢厚生年金として上乗せがあるサラリーマンとは差が出ます。その差を埋めるのが国民年金基金なのです。

掛け金は月額68,000円まで。ただし、iDeCo(確定拠出年金)にも入っている場合は両方合わせて68,000円が限度です。

詳細は以下の、ファイナンシャル・プランニング技能士の試験問題を例題に具体的な内容に触れていきましょう。

1級の過去問ですが、順を追って説明しますので2級、3級を目指している人も心配はいりません。【以下、みどり色文字は2018年1月28日実施の金財1級FP学科試験〈基礎編〉の引用です。】

《問5》 国民年金基金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1)国民年金の第1号被保険者は、その者の住所地に係る地域型国民年金基金とその者が従事する事業または業務に係る職能型国民年金基金に同時に加入することができる。

誤りです。

国民年金基金には上記の通り地域型基金と職能型基金があります。それぞれの説明も上記問題文の通りです。ただし両方に同時に加入することはできず、どちらかを選択しなければなりません。

両者は運営主体が違うだけで、掛け金や保障内容に違いはありません。

地域型は各都道府県に1つづある国民年金基金により運営されています。大阪府には「大阪府国民年金基金」、北海道には「北海道国民年金基金」といった具合に47の団体があります。

職能型は「歯科医師国民年金基金」や「漁業者国民年金基金」「全国個人タクシー国民年金基金」などその事業に従事する人だけが加入できる25の団体があります。

「地域型」はそこに住む人でなければ加入できませんので、都道府県をまたいで引っ越した場合は「脱退」ということになり加入員資格を失います。

「職能型」も職業が変わった場合など、加入条件である事業に従事しなくなった場合は「脱退」となります。

脱退した場合、掛けてきたお金が召し上げられる訳ではなく将来の年金の原資としてプールされます。解約返戻金のようなシステムはありませんので一時金としてもらえるわけではありません。

では、引越しなど上記の事情で「脱退」を余儀なくされた場合、続けることができないのかと言えば、引きつづき第1号被保険者であれば続けることは可能です。ただし新しい住所地の国民年金基金などに改めて加入の手続きを取る必要があります。(従前の掛金で加入できる特例があります。)

ところで、ここまでお話しいたしました「地域型」と「職能型」ですが、間もなく合併することが予定されています。一部の職能型基金(3団体)を除くすべての団体が合併し「全国国民年金基金」となるようです。地域型は完全になくなりますので、このような試験問題もなくなることでしょう

平成31年4月の予定です。

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