じわじわとシビアになる年金制度

13年間にわたり毎年続いた厚生年金保険料の値上がりが昨年(平成29年)ようやく止まりました。しかし、これで「めでたしめでたし」となるほど年金財政は余裕があるわけではありません。次にどんな一手を打ち出してくるのか私たちは戦々恐々としています。

次の一手として

検討されているのが75歳までの繰り下げです。75歳まで年金がもらえなくなるわけではなく、次のような仕組みです。

現行制度では老齢年金がもらえるようになるのは原則65歳からです。以前は60歳からでした。ある日突然変えるわけにいかないので徐々に移行しており、現在はその過渡期です。

支給額が下がることを我慢すれば60歳まで繰上げてもらうことは可能です(最大30%の減額)。逆に70歳まで繰り下げれば支給額は増やしてもらえます(最高42%増額)。何歳で死ぬかは自分で決められませんから損得を考えればどちらも賭けです。

現在の制度では70歳より後に繰り下げることはできません。手続きを先延ばしにしても支給額が増えることはありません。

70歳以降も選択制に

今、検討されているのはこの「70歳でプラス42%」という上限を75歳までの繰り下げを選択可能にし、さらに増額の幅を増やそうというものです。

今後も間違いなく高齢化は進みます。年金財政に余裕ができることは考えられません。そうなると取るべき手段は次の3つです。

  1. 支給額を引き下げる。
  2. 年金保険料を上げる。
  3. 支給開始年齢を上げる。

どれも簡単ではありませんが、インセンティブを与えることが条件にはなりますが、3が最も容易だということは理解できます。75歳引き上げが実施されるとしても2020年以降になりそうです。ただしこれも希望者がいて初めて成り立つわけで年金財政にどれくらい効果があるかは未知数です。

負担は「個人」から「企業」へ

さて、改めて現行制度に目を向けてみましょう。前述のとおり老齢年金の支給開始年齢は原則65歳です。しかし多くの企業は60歳定年制です。60歳で退職するとその後5年間は年金の空白期間が生じます。この空白期間ができないよう企業に定年延長などの救済措置を促す目的でできた法律が「高年齢者雇用安定法」(正式名称「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」)です。

企業側も負担が増すわけですから、一方的に定年を引き上げるよう国から求められても簡単には応じられません。そのためこの法律は、いくつかの選択肢を用意して企業に協力を仰ぐという形になっています。

では法律の具体的な中身を以下の例題の沿ってみていきましょう。