6つの係数を順番に詳しくみてきました。今回のまとめで6つの係数は終わりです。

6つの係数のハイブリッドタイプもある

あらためて例題を見ていきましょう。

《問6》 3,000万円を年3%で複利運用しながら20年間、毎年120万円ずつ取り崩した場合、20年後に残っている金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、取崩しは年1回であるものとし、下記の係数を使用して算出すること。また、税金や手数料等は考慮せず、計算結果は万円未満を四捨五入すること。

1)1,084万円
2)1,632万円
3)2,193万円
4)2,948万円

係数を使う計算は、取り崩して最終「0円」という前提です。6つの係数に「いくら残る?」を求める係数はありません。 しかし使える係数はここでは提示されている3つだけです。

まずは取り崩しで使う資本回収係数を使い計算を試みます。「毎年120万円づつ」という条件は一旦無視します。

3,000万円×0.0672=201.6万円

毎年201.6万円づつ20年間で取り崩し切れば残りは「0円」になります。ところがここでは120万円づづということですから当然20年後にいくらか残ってきます。それを計算しないといけないのですが・・・。そこで、次のように考えてはいかがでしょうか。

201.6万円の予算があるけど120万円しか使わなかったとするとその差額を貯金ができます。20年後に残る金額の原資は120万円と201.6万円の差額=81.6万円の20年分です。しかも複利で積み立てた利息が付きます。

そう考えると年金終価係数が使えます。年金終価係数を当てはめると以下のように計算できます。

81.6万円×26.8704=2,192.62464円≒2,193万円(→解答:3))。

下図のようなイメージになります。

まとめ

6つの係数を体系立てて順番に説明してまいりました。このように6つの係数は6つまとめて勉強するのが理解への近道です。部分的にやって分かるのは終価係数と現価係数まででしょう。いったん慣れてしまえば確実に1問解答できます。

ただ、出題形式はほぼ4択の計算問題で、ある程度の計算に対するセンスがあれば、係数を理解していなくても解けるケースは結構あります。係数は「掛けて使う(×)」という知識と問題文中に記載されて係数を選ぶことができればいいのです。今回の例題でも3つの係数は常識的にどれを選ぶかはだいたい分かります。

ですから私も正直いうと係数をバカにしていた時期もありました。しかし、試験問題には常に「いじわる問題」というのが存在します。掛けて使うのではなく「割る(÷)」場合が時々あります。

係数は2つづつが裏表の関係にあると説明してきました。減債基金係数が必要な問題で減債基金係数が記載されておらず、代わりに年金終価係数が示されている場合があるのです。このふたつは積み立てグループの裏表ですから、年金終価係数で「割る」というひと工夫が必要になるのです。

そんなこんなで、やはり係数はしっかりやる価値があります。そんなに難しくありませんのでやっておいて損はありません。