すまい給付金(1)では「住宅ローンで家を買えばお金がもらえる」などの、「すまい給付金」の簡単な説明をいたしましたので、今回はその具体的な条件等についてお話です。
消費税率引き上げにより住宅を購入する人の負担も当然増えます。高額商品ですから2%、3%もばかになりません。その負担増は収入の多い人より少ない人のほうが切実です。すまい給付金はそんな人の負担軽減をはかるためにできた制度です。
ですから、消費税が上がったということが実施の条件です。平成26年4月にすでに5%から8%に上がりました。第2段階として平成31年10月に10%に上がることが色濃くなってきました。現時点(平成30年10月)は8%時点の実施条件が適用されています。適用を受けるための条件はかなり細かく規定されていおり詳しくはこちら(すまい給付金公式ホームページ)を参照いただくのが間違いありません。
それでは今回もFP試験の例題をみて基本的な内容に近づいていきましょう。
例題
1級の過去問ですが、順を追って説明しますので2級、3級受検の人も心配はいりません。
【以下、は2018年1月28日実施の金財1級FP学科試験〈基礎編〉の引用(緑色)です。】
《問7》 すまい給付金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも平成29年度中に所定の要件を満たした住宅を取得して引渡しを受けるものとする。
以下4つの選択肢のうち3つは正しい記述で、この制度の基本的な部分を網羅しています。補足を加えながら見ていきましょう。
1)住宅ローンを利用せずに住宅を取得する場合、すまい給付金を受け取ることができる住宅取得者は、当該住宅の引渡しを受けた年の12月31日現在の年齢が50歳以上の者に限られる。
正しい記述です。
住宅ローンを使うことが前提です。ローンを使わず手持ちの現金がある人、親が購入資金を出してくれる人などは比較的余裕のある人だと考えられます。制度の趣旨から考えて、余裕のある人までケアする必要はないというのがその理由です。
ただし、50歳以上ともなれば長期のローンは組めませんし、さほど裕福でなくても長年自分で蓄えたお金があれば、無理にローンを使わせるのも不合理ですからローンを利用しない場合でも認められています。
ここでの問題はどの時点で「50歳」かをジャッジするかということです。文中にある「12月31日現在の年齢」というのは確定申告の考え方に合わせてこのように決めてあると思われます。
2)すまい給付金の対象となる中古住宅は、売買契約における売主が宅地建物取引業者であるものとされ、消費税が課税されない個人間売買の中古住宅は対象外となる。
正しい記述です
消費税増税後のケアが制度の趣旨ですから、消費税が課税されない個人間売買には適用されません。
3)すまい給付金の給付額は、給付基礎額に取得した住宅の登記上の持分割合を乗じて算出され、複数の持分保有者がすまい給付金を受け取る場合、所有者ごとの申請が必要となる。
正しい記述です。
4)すまい給付金の給付額の算定における給付基礎額は、住宅取得者の都道府県民税の所得割額によって決定され、最大で50万円である。
誤りです。
50万円が誤り。正しくは30万円です。消費税が10%になったときには最大50万円に引き上げらせます。
平成26年4月に消費税率が8%になりましたが、その後10%になる話は2度延期されました。しかし、平成31年10月はよほどのことが起こらない限り実施されると思われます。
増税前は、駆け込み需要、増税後はその反動の落ち込みというのが通例です。増税後にもメリットを盛り込み極端な集中を避けることになってくれればと願います。
出題事項の詳細解説
- 【A】ライフプラン
- パート労働者の社会保険
- 労災保険の給付(1)
- 労災保険の給付(2)
- 公的年金制度の遺族給付(1)
- 公的年金制度の遺族給付(2)~中高齢寡婦加算
- 公的年金制度の遺族給付(3)~男やもめ
- 公的年金制度の遺族給付(4)障害年金との併給
- 離婚時の年金分割(1)
- 離婚時の年金分割(2)〜標準報酬の改定とは
- 離婚時の年金分割(3)〜合意分割と3号分割
- 国民年金基金~地域型と職能型
- 6つの係数(1)終価係数〜複利と累乗の世界
- 6つの係数(2)想像を超える複利と累乗の世界
- 6つの係数(3)現価係数〜3つのグループ分け
- 6つの係数(4)積み立てグループ〜年金終価係数&減債基金係数
- 6つの係数(5)取り崩しグループ〜資本回収係数&年金現価係数
- 6つの係数(6)応用とまとめ
- すまい給付金(1)
- すまい給付金(2)
- 高年齢者雇用安定法(1)
- 高年齢者雇用安定法(2)
- 【B】リスク管理