前回のミニ保険の他にも契約者保護の補償の対象とならないものがあります。例題の続きを見ていきましょう。

2)特別勘定を設けなければならない保険契約のうち、運用結果に基づき支払われる保険金等のすべてについて最低保証の付されていない保険契約(運用実績連動型保険契約)において、当該特別勘定に係る部分については、補償対象契約から除外される。

正しい記述です。

特別勘定とは

生命保険会社は加入することお客様から受け取ったお金(保険料)をプールしていざという時に保険金として支払うのですが、運用してお金を増やす努力もしています。しかし運用にはリスクも伴います。高いリターンを狙い、高いリスクをかけて運用すれば保険金を支払うためのお金を失ってしまうことにもなりかねません。

そこで、保険会社は手堅い運用のためのお金と、多少のリスクを取ってでも積極的に増やしていくためのお金を分けて運用してます。

手堅いほうは「一般勘定」と呼ばれ、ハイリスクハイリターンを狙うほうは「特別勘定」と呼ばれています。二つの財布を使い分けているのです。

運用実績連動型保険契約はこの特別勘定を使い運用されています。うまくいけばその分見返りがありますが、下手をすると元本割れになることもあります。

 

特別勘定で運用されている商品は、結果に対しても加入者が責任を負う仕組みになっているのです。よって契約者保護の対象からは外されています。

3)高予定利率契約とは、生命保険会社の破綻時に過去5年間で常に予定利率が5%を超えていた保険契約をいい、補償対象契約のうち高予定利率契約に該当する保険契約の責任準備金等の補償率は、90%から補償控除率を減じた率とされる。

誤りです。

高予定利率契約の場合

「予定利率が高い」契約です。過去5年間で常に予定利率が基準利率を超えていた契約のことを言います。5%以上というふうに決まった数値が決められているわけではありませんので上記問題文中の「5%」は間違いです。

では基準利率とは。

全生命保険会社の過去5年間の年平均運用利回りを基準に、金融庁長官及び財務大臣が毎年きめることになっており、現在は3%です。

文後半部分は正解です。

高予定利率契約でなければ「責任準備金の90%」が補償されるのですが、高予定利率契約の場合は90%からハイリターンだった部分が減額されることになってます。それが「補償控除率」です。

(過去5年間における各年の予定利率-基準利率)の総和÷2 で計算されます

責任準備金とは。

生命保険会社が保険金などの支払に備え、積み立てている準備金のことです。保険契約者から支払われた保険料は、預貯金と異なり、全てが積み立てられるわけではありません。一部は経費等に充当されますので保険料の総額よりも少なくなります。解約返戻金に近いイメージです。

4)平成34年(2022年)3月末までに生命保険会社が破綻した場合で、会員の拠出する負担金等で資金援助等の対応ができないときには、国会審議を経て、国から生命保険契約者保護機構に対して補助金を交付することが可能とされている。

正しい記述です。

以前は平成29年3月末までの決められていましたが、期間が延ばされています。今後も延ばされる可能性はあります。