ミニマリストと呼ばれる物を所有しない人々や、そのライフスタイルいわゆる「「持たない生活」が注目の的です。昔人間の私もこのような風潮を興味をもってながめていますが、「実際にやるのはちょっと・・・」という感じです。

定額サービスやあらゆる物のレンタルが「持たない生活」を支えていると考えられます。「定額」といえばNetflixやAmazon Music Unlimitedなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、最近ではビジネススーツの定額制を始めたアパレルメーカーも出てきました。カーシェアリングをはじめレンタル商材の幅が広がり、最低限の持ち物で生きていける世の中になってきたようです。

「持たない生活」に対する賛否、評価はともかくとして、昔から続く「定額サービス」といえば賃貸住宅です。「持たない生活」と言っても、最低限の家財道具をいつも持ち歩くのは大変ですから住む場所は必要です。居所を定めずホテル暮らしという人もいますが、極めてまれです。

特殊な人を除いて、住居はすべての人にとって生活の基盤です。住む家なしには生きていけません。ただ、家は生活必需品なのですが、ここには「賃貸or持ち家」という大きな選択肢が存在します。

冒頭では「持たない生活」を取り上げましたが、今回は「持つ生活」すなわち「家を買う」方のお話です。注目するのは「すまい給付金」。「家を買えばお金がもらえる!」制度です。

「一生賃貸でもいいと思っていたけど、そんな制度があるならば家を買おうかな」という気になるかもしれませんね。

ライフプランニングにおいて家の購入は非常に大きなイベントです。

もちろん、絶対に買わなければならないわけではなく、「一生賃貸住宅」という選択肢もあります。

どちらが「得」か。これは常に議論されるテーマですね。

この「二者択一」を決めるのもまたライフプランニングの重要な要素です。今回紹介するすまい給付金という制度を知ったなら「お金がもらえるし家を買おうかな」となるかもしれません。

住宅購入は大きなお金が動くので個人にとって大きなイベントであると同時に、社会にとっても大きな経済効果をもたらします。家を買う人が増えると経済活動は活発になり、家を買う人が減ると景気もパッとしなくなります。

そうは言っても、そう簡単にみんなが家を買えるわけではありません。昨今話題が増えてきた消費税率引き上げが実施されればますます買いにくくなります。

政府としてもそんな事態を危惧しいます。景気に悪影響を与えないように住宅を買いやすくする対策を打ち出してきたのです。

住宅は大きな買い物ですから、住宅ローンを使わず家が買える人はあまりいないと思います。以前からある住宅ローン減税に加えて実施されたのが「すまい給付金」なのです。

 すまい給付金とは

「住宅ローンで家を買えばお金がもらえる」

簡単に言えばそういう制度です。平成26年4月に消費税が5%から8%に上がったときから始まりました。

住宅ローン減税とどう違うの?

ずっと以前からある住宅ローン減税は、ローンの借入残高に1%(平成30年10月現在)を上限に納めた所得税が返ってくる仕組みです。

例えば

借入金3,000万円の場合、

3,000万円×1%=30万円

この30万円を限度額として、税金を返してもらえる権利があるのですが、この恩恵を最大限受けられるのは年間30万円以上税金を払っている人です。税金が10万円の人は当然10万しか返してもらえません。

税金をたくさん納めている人ほどたくさんの恩恵が受けられるということは、収入の多い人ほど恩恵が多いということが言えます。収入の少ない人は1%枠の権利がありながら使い切ることができない、ということになります。

消費税率引き上げ絡みでできた制度

「すまい給付金」は、収入の少なくあまり恩恵が受けられなかった人に対する穴埋めをするような制度です。ただし、本来の趣旨は、消費税が上がることでダメージの大きい人(すなわち「家を買う意思はあるけど収入の少ない人」)をケアすることなので、もらえる金額は穴埋め分というわけではありません。

もう少し詳しい内容は次の「すまい給付金(2)」でPF試験の例題を参考にしてみていきます。

ところで、この制度、消費税率引き上げ時の「弱者保護」という意味合いかもしれませんが、少々乱暴な制度にも思えるのですが、みなさまいかがでしょうか。

住まい給付金(2)につづきます・・・