・・・前回(離婚時の年金分割(1))からのつづきです。

年金分割と言っても、離婚して、話がついた瞬間にお金がもらえるわけではありません。よく考えれば分かると思いますが、そもそも年金は最低でも60歳にならないと支給はされないものです。それが離婚したからと言って先にもらえるようになるわけがないですよね。

老齢年金がいくらもらえるか、ある程度の予測はできても最終的には年金保険料を納め終わらなければ確定しません。

年金は保険料を納める時代の計算式ではなく、もらう時代の計算式で計算されます。計算式や係数は制度の改正があれば変わります。また、本来65歳から受給するのものを、60歳に繰り上げたり、70歳まで繰り下げたりすることもでき、それによっても年金の金額は変わります。さらに、受給資格が得られる年数(10年)に満たない場合もあります。

年金分割はまだ確定していない「もらえるであろう年金」を分けるということですが、金額も確定していないものを分けることは不可能です。ではどうするかと言えば・・・。

年金保険料の「納付記録」を分けるのです。問題文中の「標準報酬の改定」とは、この納付記録を分割す手続きのことをさしてます。標準報酬とは、年金計算のベースとなる金額です。給与支給額そのもではなく、4月から6月の給与を平均してさらに単純化したものです。例えばこの3ヶ月の平均が256,789円であれば「260,000円」という感じです。「年に1回計算され、給与明細の通知が入っていると思います。

老齢厚生年金の計算をするときに出てくるのが「平均標準報酬額」と「平均標準報酬月額」です。下記の計算式(日本年金機構HPより引用)は1級、2級FP検定の記述式の問題でよく使います。

平成15年4月を境にボーナスから引かれる年金保険料の扱いが変わったので、難しそうな式に見えますが、要は標準報酬に係数をかけて受給金額を計算するわけです。

同じように納付する年金保険料もこの標準報酬に保険料率18.3%を掛けます。(これを労使折半しますので実際に給与から引かれるのは9.15%)

さて、話を離婚時の年金分割に戻します。分割するというのは、すでに納付した年金保険料は上記のようの「標準報酬」を元に計算しているにで根っ子の標準報酬を過去に遡って記録を書き換える(2人分に分ける)という作業なのです。よって「標準報酬の改定」と呼ばれるわけです。

前段階の説明が長くなりました。本題の以下選択肢の正誤を詳しく見ていきましょう。

1)合意分割における按分割合は、対象期間における離婚当事者双方の厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)の合計額の2分の1を上限として、離婚当事者双方の合意または裁判手続により定められる。

この続きは次回(離婚時の年金分割(3)〜合意分割と3号分割)へ・・・。